ハーブ抽出の基本
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ハーブ抽出の基本 ― 熱湯抽出法
熱湯抽出は、紅茶やハーブティーをいれる要領で、ハーブに含まれる水溶性の成分や香りを取り出す、最も手軽な抽出方法です。
飲用する場合は、必ず食品・ハーブティー用として販売されているハーブを使用してください。化粧品原料、クラフト用、観賞用のハーブは飲用できません。
基本レシピ
材料
- 乾燥ハーブ:5g
- 熱湯:400mL
※ペパーミント、ローズマリー、カモミール、ラベンダーなど、葉や花のハーブに適した方法です。
作り方
- 清潔な耐熱容器に乾燥ハーブ5gを入れます。
- 沸かしたての熱湯400mLを注ぎます。
- 香りや揮発しやすい成分が逃げないよう、すぐに蓋をします。
- 5~10分ほど蒸らします。
- 茶こしや清潔なガーゼでハーブを取り除きます。
- 飲用の場合は適温に冷まし、化粧水などに使用する場合は十分に冷ましてから使用します。
葉や花を使う一般的なハーブティーでは、熱湯を注いで数分間蒸らす方法が用いられます。抽出時間を長くすると濃くなりますが、ハーブによっては苦味や渋味も出やすくなります。
使用量の目安
| 仕上がり量 | 乾燥ハーブ |
|---|---|
| 200mL | 約2~3g |
| 400mL | 約5g |
| 500mL | 約5~7g |
ハーブの種類や細かさ、好みの濃さに合わせて調整してください。ラベンダーなど香りの強いハーブは、少量から試すのがおすすめです。
保存について
熱湯抽出液には防腐剤が入っていないため、時間の経過とともに微生物が増殖する可能性があります。特に水を多く含む手作り化粧品は、容器や手指からも微生物が混入しやすいため、作り置きには向きません。
- 飲用する場合: 作った当日中に飲み切ってください。
- 化粧水などに使用する場合: 冷めたらすぐに使用し、残った抽出液は廃棄してください。
- 冷蔵保存しても、長期保存はできません。
- におい、濁り、変色などの変化が見られた場合は使用しないでください。
- 保存用化粧水として販売したり、数日間使い続けたりする用途には適しません。
使用上の注意
- 飲用には食品用ハーブだけを使用してください。
- 初めて飲むハーブは薄めに作り、少量から試してください。
- キク科などの植物にアレルギーがある方は、カモミール、カレンデュラなどに注意してください。
- 妊娠中・授乳中、持病のある方、医薬品を服用中の方は、ハーブの種類によって適さない場合があります。継続して飲用する前に医師や薬剤師へ確認してください。ハーブと医薬品の相互作用が知られている例もあります。
- 肌に使用する場合は、冷ました抽出液であっても目の周りや傷、粘膜を避け、異常を感じた場合は使用を中止してください。
簡潔な説明文
熱湯抽出は、紅茶をいれる要領でハーブの成分を取り出す、最も手軽な抽出方法です。清潔な耐熱容器に乾燥ハーブ5gを入れ、熱湯400mLを注ぎます。すぐに蓋をして5~10分蒸らし、茶こしなどでハーブを取り除いてください。
飲用する場合は、必ず食品・ハーブティー用のハーブを使用し、当日中に飲み切ってください。化粧水などに使用する場合は、十分に冷ましてからすぐに使用します。防腐剤を含まないため保存はできません。残った抽出液は廃棄してください。
ハーブ抽出の基本・浸出油の作り方
浸出油とは、乾燥ハーブを植物油に漬け込み、ハーブに含まれる油溶性成分をオイルへ移す方法です。
出来上がった浸出油は、手作り石けん、クリーム、バーム、ボディオイルなどに使用できます。
精油のような強い香りを抽出する方法ではありませんが、使用するハーブや植物油によっては、ほのかな香りや色が残ることがあります。
使用するハーブについて
浸出油には、十分に乾燥したハーブを使用してください。
生のハーブや、乾燥が不十分なハーブには水分が含まれているため、油の劣化やカビ、微生物汚染の原因になることがあります。
ハーブ、保存容器、使用する器具に水分が残らないよう注意してください。
基本のカレンデュラ浸出油
材料
- 乾燥カレンデュラ 20g
- オリーブ油 100g
または
- 乾燥カレンデュラ 20g
- オリーブ油 90g
- 小麦胚芽油 10g
※容量で量る場合は、オイルの種類によって重量が異なるため、できるだけ重量で計量してください。
用意するもの
- 清潔で十分に乾燥したガラス容器
- 計量器
- 清潔なスプーンまたはヘラ
- 茶こし、ガーゼ、コーヒーフィルターなど
- 保存用の遮光瓶
冷浸法
熱を加えず、時間をかけてゆっくり浸出させる方法です。
カレンデュラ、カモミール、ローズ、ラベンダーなど、花や葉を使用する場合に取り入れやすい方法です。
作り方
- ガラス容器と使用する器具を洗浄し、十分に乾燥させます。
- 容器へ乾燥ハーブを入れます。
- ハーブ全体が十分に浸るまで植物油を注ぎます。
- 清潔なスプーンなどで軽く混ぜ、ハーブの間に残った空気を抜きます。
- 容器のふたを閉め、直射日光を避けた涼しい場所に2~4週間置きます。
- 1日1回程度、容器を軽く揺らします。ハーブが油の表面から出ている場合は、清潔な器具で沈めるか、油を追加してください。
- 茶こしやガーゼなどでハーブを濾し取ります。
- 濾したオイルを清潔で乾燥した遮光瓶へ移します。
- 作成日、使用したハーブ、植物油の種類をラベルへ記載します。
二度漬けする方法
容器の大きさなどにより、ハーブを一度に全部入れられない場合は、二度に分けて浸出できます。
- 半量のハーブを植物油へ漬け込み、1~2週間置きます。
- 一度ハーブを濾し取ります。
- 濾したオイルへ残り半量の新しい乾燥ハーブを加えます。
- さらに1~2週間置きます。
- ハーブを丁寧に濾し取って完成です。
二度漬けすることで、少ない容器でも濣い色合いの浸出油を作りやすくなります。
温浸法
低温で穏やかに温め、短時間で浸出させる方法です。
ローズマリーなどの比較的しっかりした葉や、短期間で浸出油を作りたい場合に向いています。
作り方
- 耐熱容器へ乾燥ハーブと植物油を入れます。
- 湯せんにかけ、オイルの温度をおおむね40~60℃に保ちながら、1~3時間ゆっくり温めます。
- ハーブが油から出ないよう、ときどき静かに混ぜます。
- 加熱後はそのまま冷まします。
- 茶こしやガーゼなどでハーブを濾し取ります。
- 清潔で乾燥した遮光瓶へ移します。
直火や電子レンジでの加熱は、部分的に高温になりやすいため避けてください。高温にしすぎると、植物油やハーブの成分が変化しやすくなります。
ROEを加える場合
ROEはローズマリー由来の油溶性酸化防止剤です。植物油の酸化を遅らせる目的で使用します。
ROEには、水分を含む製品の腐敗を防ぐ防腐効果はありません。また、酸化を完全に防いだり、保存期間を保証したりするものではありません。
SA051AのROE添加仕様を使用する場合は、商品指定の目安として、オイル500gに対してROE 2gを加え、よく混ぜます。
- オイル500g
- SA051A ROE添加仕様 2g
- 添加率 0.4%
1kg程度の植物油を購入した際に、ROEをあらかじめ混ぜておくと、浸出油や石けん作りに使用しやすくなります。
ROEは商品ごとに濃度が異なるため、SA051A以外の商品にはこの添加量をそのまま使用せず、必ず各商品の推奨添加量を確認してください。
保存について
完成した浸出油は、清潔で十分に乾燥した遮光瓶へ入れ、直射日光、高温多湿を避けて保管してください。
家庭で作る場合は、1~3か月程度を目安に、できるだけ早めに使い切ることをおすすめします。
実際の保存期間は、使用した植物油の種類、ハーブの乾燥状態、作業時の衛生状態、保存温度などによって異なります。
次のような変化が見られた場合は使用しないでください。
- 油臭い、クレヨンのようなにおいがする
- 酸っぱいにおいや普段と異なるにおいがする
- カビ、泡、濁り、糸を引くような変化がある
- 水滴や水分の層が見られる
水を加えて作るクリームや乳液に使用する場合は、浸出油とは別に、処方に適した乳化剤や防腐設計が必要です
ハーブ抽出の基本・エタノール/BG抽出
乾燥ハーブをエタノール水溶液、または1,3-BG水溶液に漬け込み、植物由来の成分を抽出する方法です。完成したエキスは、化粧水やジェル、クリームなどへ少量配合して使用できます。
なお、1,3-BGは化学的には二価アルコールですが、一般的には「BG抽出」「BGエキス」と呼ばれています。エタノールと1,3-BGでは抽出されやすい成分や使用感が異なるため、ここでは分けてご案内します。エタノールは化粧品原料として溶剤などに、1,3-BGは植物エキスの抽出溶媒として実際に使用されています。
① 30%エタノール抽出エキス
材料・仕込み量100g
| 材料 | 配合量 |
|---|---|
| 乾燥ハーブ | 10g |
| 無水エタノール | 27g |
| 精製水 | 63g |
| 合計 | 100g |
無水エタノール27gと精製水63gを混ぜると、抽出溶媒90g中のエタノール濃度は30%になります。
※「無水エタノール30g+精製水70g」とすると溶媒だけで100gになり、ハーブを加えた仕込み量は110gになります。どちらでも作れますが、上記レシピは全体を100gとして計算しています。
作り方
- 清潔で十分に乾燥させたガラス容器を用意します。
- 乾燥ハーブを細かく刻むか、粗く粉砕して容器へ入れます。
- 無水エタノールと精製水を混ぜ、ハーブ全体が浸るように加えます。
- ふたをしっかり閉め、直射日光を避けた場所で5~7日間抽出します。
- 抽出中は1日1回、容器を軽く振って混ぜます。
- 清潔なろ紙、コーヒーフィルターなどでハーブを濾し取ります。
- 濾過後、1~2日静置し、沈殿が生じた場合は上澄みだけを別容器へ移します。
エタノールは引火性があるため、火気の近くでは作業しないでください。
② 50%BG抽出エキス
材料・仕込み量100g
| 材料 | 配合量 |
|---|---|
| 乾燥ハーブ | 10g |
| 1,3-BG | 45g |
| 精製水 | 45g |
| 合計 | 100g |
1,3-BGと精製水を同量使用した、50%BG水溶液による抽出です。
PMDAが公開している植物エキスの規格例にも、粉砕した植物原料10kgに対して、50%の1,3-BG水溶液90kgを加えて抽出する製法があります。この例では室温で2週間抽出されており、植物の種類によって適切な抽出期間が異なることが分かります。
作り方
- 清潔で十分に乾燥させたガラス容器を用意します。
- 乾燥ハーブを細かく刻むか、粗く粉砕して容器へ入れます。
- 1,3-BGと精製水を混ぜ、ハーブ全体が浸るように加えます。
- ふたを閉め、直射日光を避けた場所で7~14日間抽出します。
- 抽出中は1日1回、容器をよく振って混ぜます。
- 清潔なろ紙やコーヒーフィルターでハーブを濾し取ります。
- 1~2日静置し、沈殿が生じた場合は上澄みだけを別容器へ移します。
短期間で作る場合は5日程度でも抽出できますが、すべてのハーブに共通する標準的な抽出期間ではありません。BG抽出では、7日から2週間程度を目安とする方が無難です。
ユキノシタBGエキスの配合例
| 材料 | 配合量 |
|---|---|
| 乾燥ユキノシタ | 10g |
| 1,3-BG | 45g |
| 精製水 | 45g |
| 合計 | 100g |
元の「ユキノシタ10g+1,3-BG 50g+水45g」でも作れますが、合計105gとなり、抽出溶媒中のBG濃度は約52.6%です。分かりやすい基本処方としては、BG45g、精製水45gがおすすめです。
化粧水への配合目安
完成したエキスは、化粧水全体の1~5%程度を目安に配合します。初めて使用する場合や敏感肌向けには、1~3%程度から試してください。
「5%まで」は家庭向けレシピとしての配合目安であり、すべてのハーブエキスに共通する安全性の上限ではありません。植物の種類、抽出濃度、肌への刺激性によって適量は異なります。
BGエキス配合化粧水・100g
| 材料 | 配合量 |
|---|---|
| 精製水 | 95g |
| BG抽出エキス | 5g |
| 合計 | 100g |
水を含む化粧水は、この処方だけでは長期保存できません。作り置きを避け、清潔な容器を使用して早めに使い切ってください。
保存について
完成した抽出エキスは、清潔な遮光容器へ入れ、冷暗所または冷蔵庫で保管します。
ただし、家庭で作った抽出液について、一律に「6か月保存可能」とは案内しない方が適切です。 原料ハーブには微生物が付着している可能性があり、濾過しただけでは無菌にはなりません。さらに保存性は、溶媒濃度、水分量、容器、衛生状態、植物の種類などによって変わります。製品として保存期間を設定する場合は、安定性や微生物に関する確認が必要です。
家庭で作る場合は少量ずつ作り、濁り、沈殿の増加、異臭、発泡、色の大きな変化などが見られた場合は使用しないでください。
使用上の注意
- 生のハーブではなく、十分に乾燥したハーブを使用してください。
- ハーブが液面から出ないよう、抽出液へ完全に浸します。
- 粉末状にしすぎると濾過しにくくなるため、粗く粉砕する程度がおすすめです。
- 使用前に腕の内側などで少量を試してください。
- 目の周囲や粘膜、傷や炎症のある部分には使用しないでください。
- エタノール抽出エキスは、アルコールに敏感な方や乾燥しやすい肌には適さない場合があります。
- 販売用化粧品に使用する場合は、家庭用レシピをそのまま採用せず、原料規格、品質、安全性、保存性を確認してください。
ドライハーブ
どくだみ、ハトムギ、ユキノシタ、ヨモギなど、植物抽出や手作りコスメ素材としても人気の各種ハーブ類。






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